1.頭をぶん殴られた気がしたあの日

広島の建築設計事務所かんくう建築デザインのみんなが笑顔になる家づくり

2010年以前の話ですが、ある工務店で同じ大工さんに4棟ほど建ててもらったことがあります。
その大工さんはとても腕が良く、仕事も丁寧な当時50代前半の方でした。
私はその大工さんから、小屋組みの提案や強度的に向上する木の組み方など、様々な事を教わりました。

家を建てる場合、通常2~3人の大工さん達が組んで仕事をしていますが、その大工さん以外皆60代です。
2005年頃になりますが、その大工さんが働いている現場で、何気なくこんな質問をしてみました。

広島の建築設計事務所かんくう建築デザインのみんなが笑顔になる家づくり

「伝統的な木組みを知っていて、丸太から手刻みで加工する技術も持っているのに、何でそれを若い大工さんに伝えないんです?若い大工さんを入れたらいいのに。」と。
するとこんな答えが返ってきました。
「今の工務店は人を育てるだけの日当をくれん。だから雇えん」と。
その答えを聞いた時、頭をぶん殴られた気がしました。
それ以来、どうすれば若い職人を育てる事が出来るのか、考え始めました。

大工を目指す若者に一から技術を教えていくのには時間とお金がかかります。しかしその費用が丸々上乗せされて工事費が上がったのでは、お客さんにとって喜ばしいことではありません。
お客さんにも喜んでいただけ、大工さんをはじめとする職人さんも喜ぶ仕組み、言うなればみんなが喜び、みんなにメリットがある仕組みでないと長続きしないと思っていましたので、そのような仕組みの家造りはないものか、と考え始めたという訳です。