2.相反する3社見積り
先に進む前にみんなが喜ぶ家造り、私達はこれを「みんなが笑顔になる家造り」と呼んでいますが、ふとしたきっかけでその仕組みを思いつくことが出来ました。
まずは2011年に2件のリフォームを行い、2022年2月現在まで新築を28件、リフォームを15件程、行っています。
この仕組みについて説明するのは簡単なのですが、内容をよりご理解いただくため、又この仕組みを思いついたきっかけ、そして現在の大工さんをはじめとする職人さん達の仕事環境について書きたいと思います。
これまで私達の事務所では、家の最終図面が出来上がった段階で、「いい家をお安く」という考えのもと、基本的に3社程度ハウスメーカーや工務店(以下施工業者)に見積りを依頼していました。 そうすることで価格競争を促してきましたが、それはお客さんにとってコストダウンという面では良い事であっても、現場で働く職人さんの収入や技術の継承・育成という面で考えると、はなはだ疑問です。
それは何故か。安い価格で請け負った施工業者の埋め合わせは、職人さんの収入の圧迫という形で賄われている事が多いからです。
そうなるとお客さんにとっては喜ばしい事でも、職人さんにとっては喜ばしい事ではない、という相反する構図となってしまいます。
ましてや若い職人さんを育てることなど、とうてい無理というわけです。
前述した通り、お客さんも喜び、職人さんにも喜んでもらえる、関係者皆が喜びあえる家造りを目指していましたので、3社見積りを取る時でも、ずっと心に何か引っかかるものがありました。