5.コミュニケーションの重要性
私達は職人さんとお客さんとのコミュニケーションは非常に大切なものだと思っています。
図面では分からなかったものが、だんだん家らしくなってくるにつれて「ごめん、ここに飾り棚作って」、「お願い、ここに家の鍵や印鑑を置きたいけえ、小さな収納ボックス作って欲しい」等、絶対に出てきます。普通の大工さんであれば、その要望に応えてあげたいはずです。
しかし、そういった要望を避けて通る仕組みって、なんか寂しいと思いませんか。
そういえば以前こんなことがありました。
棟上が終わっていよいよ明日から本格的に大工工事が始まろうとしている時、工務店の現場監督からこう言われました。「1週間ほど現場を空けます」と。
それはそれで工務店の段取りもありますので、特に気にしてなかったのですが、その一週間後8名の大工さんがやって来て一斉に工事を始めました。
現場に行くとあれよあれよという間に出来ていきます。そして一週間ほどバタバタと工事し、今度は3週間ほど空きました。
そして又8名の大工さんがやってきてあっという間に工事をしていきます。お客さんは現場に来ることが出来るのは日曜日のみ。コミュニケーションも何もあったものではありません。
お客さんにとっては一生に一度の家造り。少しは大工さんと話をしてみたかったはずでしょう。
また少しずつ形になっていく家を楽しみたいと思っていたはずです。大工さんも直にお客さんと話し、お客さんの小さな要望に出来る限り応えたいと思っていたはずです。
しかしお客さんが家造りを楽しむ時間や、些細な要望を叶えてあげる前に、壁は作られクロスを貼る段階になってしまいました。この段取りを考えるのは施工業者です。
確かに作業効率を高めることによってコストダウンを図る事は大切なことだと思います。
しかし何か大切なものを置き忘れているような気がしてなりませんでした。